[穴あき・イン・ザ・U.K.]#1

ダメージよりもプライスよりも気になっちゃうのは生産国！「そんなボロボロの服に金だすんか！」って言われちゃっても、破れてたり、ちぎれてたり、穴があいてたってやっぱり気になっちゃう生産国。ボロボロでダメージがあるものが好きなわけじゃなくて、そりゃ状態がいいほうがいいに決まってるんですけど、その”モノ”にもロマンがあるはずだ。

へんみさんのこだわり連載しませんか？と編集長に持ちかけられてまんまと筆を走らせている。連載は全5回(予定)。数は限られている[穴あき・イン・ザ・U.K.]。

「#1 憧れの英国パブロック」

学生時代、雑誌などで好きな音楽をディグっていくとへんみはパブロックというジャンルを知ることになる。70年代の英国のロック市場は肥大化し、会場はホールやスタジアムになっていたなか、小さなパブで演奏していたバンドの人たちのムーブメントが起こり、パブロックと呼ばれた。なので音楽性はさまざまで、ロックンロール、カントリー、女性シンガーもいた。

そのころインディーレーベルの「STIFF RECORDSのものはなんでも買おう」っていう”ぞっこんSTIFF期”があってレコードコレクターズ「パブロックの回」などを読んだりして、レコード屋へ通った。イアン・デューリーが美術の教師だった頃、友人たちと結成したキルバーン＆ザ・ハイローズの解散後、彼を再発見したのが、ニック・ロウやエルビス・コステロらが擁するSTIFF RECORDS。カースティ・マッコールの「New England」とか好きで良く聴いてました。
その頃買ったレコードの中に『LIVE STIFFS』というレーベルの看板アーティストたちのツアー実況盤がある。ニック・ロウやエルビス・コステロ、レックレス・エリック、イアン・デューリー、ラリー・ウォリスが参加してるやつ。ジャケにはいないがデイブ・エドモンズも参加してる！

その『LIVE STIFFS』の裏ジャケには英国Lewis Leathersライダースのキルティングにみんなのサイン？らくがき？が描いてある写真があった。ライダースが誰のものなのかは不明。

「、、、こりゃやっぱりいつかへんみも英国製のルイスレザーを着なきゃいけない！」

って思った瞬間だったに違いない。だから裏ジャケに写るものとおそらく同じ”ライトニング”を何年か前に仕立てた(正確には製造時期が異なるからタグの羽の色が違う)。ルイスレザー着るならオートバイくらい乗らないとカッコつかないだろと思ってますが、へんみは全然襟ダブル折りして電車にも乗っちゃう。

あともう1着、当時ルイスレザーが人気で生産が追いつかないことがあったらしく、OEMとして任されたのがこれも英国モーターサイクルブランドHighwayman社。それの60〜70年代に製造された”マニラ”というモデルのやつ。タグがもろにモーターサイクルという感じ。

工場が一緒だったりするためフロントジップは「CLIX」のジップ、

袖も「Lightning」のジップが使用されていてルイスレザーと同じ。

ジップの話をすると長くなりそうだけど、やっぱりZIPと言えば「YKK」です。キミの家の洋服を探したら必ず出てくるであろう「YKK」実は日本のメーカーらしい。古着さんに行くと様々なジップの洋服が売られている。「TALON」(アメリカ)、「SCOVILL」(アメリカ)、「riri」(スイス)、「OPTI」(ヨーロッパ)など、まだまだたくさんあるけど、、。
「TALON」は最近復刻もされていて、新品の服とかでも見かけますが、へんみのSchottのライダースには「復刻TALON」が付いている。むかし買った米軍モッズコートM-65には「SCOVILL」がついてる。「riri」はハイブランドなどに使われることが多い気がします。ジップの原価自体が何倍もするらしい。adidasの70年代くらいの西ドイツ製トラックジャケットには「OPTI」がついていたり。タグ以外でもジップを見れば年代や生産国がなんとなくわかったりで面白いです。