ギタリスト 越川和磨INTERVIEW(前編)

 

ギタリスト 越川和磨INTERVIEW(前編)

先日、新宿レッドクロスのYouTubeチャンネルにて、2009年に行なわれた『360°完全開放GIG』の映像がアーカイブ放送されたことも記憶に新しい伝説のロックバンド、毛皮のマリーズ。そのギタリストを務め、現在ではTHE PRETTY TONESやTHE杉並組、LTD EXHAUST IIなどで活躍中の「西くん」こと、越川和磨さんにインタビュー!

『ギター・マガジン』 2018年10月号の「我が心のギタリスト3選」特集では「ジョニー・ラモーン」の名前を挙げていた西さんに、「モズライト ジョニー・ラモーン シグネチャーモデル(フィルモア製)」を試奏いただきながら、ラモーンズとの出会いや、初めてバンドを組んだときのエピソードなどについてお話しいただきました。

「ラモーンズはライブやから!」

●早速ですが、西さんとラモーンズとの出会いについて教えて下さい。

中1くらいのときかな。
当時はまだ知名度が高くなかったハイスタを聴いてるような、パンク好きのませた同級生がいて、ある日そいつに「ラモーンズって知ってる?」って言われたのが最初。

●そのときに聴いたのは、どの音源でしたか?

『ラモーンズマニア』だね。その同級生と一緒に聴いて、「めっちゃイケてるやん!」って衝撃を受けたのを覚えてる。
で、家に帰ってお姉ちゃんに「ラモーンズって知ってる?他に音源持ってたりしない?」って聞いたら、「ラモーンズはライブやから!スタジオ版じゃなくてこれを聴け!」って言って貸してくれたのが『Loco Live』。
俺のお姉ちゃんは『BURRN!』ド真ん中世代で、「伊藤政則バンザイ!」って感じの生粋のメタラーだったんだけど、メタル以外にもルーツになった色んな洋楽のCDやレコードを持ってたんだよね。
それで聴いてみたら「ラモーンズはライブっていうのはこういうことか!」ってピンと来た。スタジオ版と違ってテンポはザクザクしてるし、何なら全部同じ曲に聴こえるんだけど、そこがいい!もう毎日聴いてたよ。ラモーンズで1番聴いたアルバムかもしれない。
だからラモーンズのベストは『Loco Live』かな。このアルバムは今でも本当に好き。完璧だよね。

●「ラモーンズはライブ」!素晴らしいアドバイスですね。
最初に聴いたのが『ラモーンズマニア』と『Loco Live』だったのは、ラモーンズの入門としてよかったと思う。

●好きな曲というところではいかがですか?

好きな曲は沢山あるけど、『KKK Took My Baby Away』は好き。曲のエピソードとは裏腹に、思わず口ずさんでしまうようなポップさがあっていいよね。

『Psycho Therapy』はギターでめちゃくちゃ練習してたな。パンクのよさって、指2本あったら弾けるところじゃない?このフレーズはまさにそう。

PVがめっちゃダサい『We Want The Airwaves』も意外と好き。この頃のラモーンズもいいよね。

あとはもう定番だけど、『電撃バップ』とか『I wanna be sedated』とか、イントロだけで勝ってる曲が好き。

これなら俺にもできそう!

●西さんが初めてバンドを組んだきっかけについて教えて下さい。

14歳くらいのときかな。
ラモーンズを教えてくれた同級生が「ラモーンズだったら弾けそうだからエレキ買うわ!」って言い出して、自分は買う予定はなかったんだけど、付き添いで一緒に楽器屋に行った。
そこで店員さんの話を聞いてみると、どうやらバンドには弦を弾く者が2人おると!それも6本と4本!で、4本の方はもっと簡単だぞと!そのときはラモーンズと同じくピストルズも好きになってたから、「だからシド・ヴィシャスは簡単な方の4本なんだ!」と納得して、ベースを買うことにした。
それでドラムには、同じ中学だった志磨(遼平)を誘ってスリーピースバンドを組んだのが人生初のバンド。

●そのバンドでは、どんな曲を演奏しましたか?

もちろんラモーンズとピストルズのカバー。
あとイエローモンキーもやったね!

●3人でイエローモンキーをやったんですか?

そのときはもう1人ボーカルを入れてやった。イエローモンキーはパンクバンドではないけど、メンバーみんな好きだったよね。

●毛皮のマリーズでは、ボーカルとギターをそれぞれ務めていた志磨さんと西さんがリズム隊のイエローモンキー・・・とても気になりますが、お話を戻しまして(笑)
西さんにとってバンドを始める入り口は、パンクだったのですね。

入り口は完全にパンクだね。今思うと、ラモーンズやピストルズを聴いて「これなら俺にもできそう!」と思ってバンド始めるっていうのは、70年代後半の若者たちと同じ考えだよね。
やっぱり、パンクバンドって単純にかっこよく映るじゃない?ティーンエイジャーには。
だからラモーンズとピストルズからパンクを知れたのは、当たりのパンクを引いたなって思うよ。もしクラッシュからだったら、そもそもパンクに興味は持っていなかったかもしれないし。

『ロンドン・コーリング』って暗いじゃん?

●LTD EXHAUST II(亜無亜危異の仲野茂さんがボーカルを務めるバンド)ではクラッシュのカバーもされていたのでとても意外なのですが、あまりお好きではないのですか?

ラモーンズ、ピストルズ、それからダムド、ニューヨークドールズは好きなんだけど、クラッシュだけは違うんだよね。いつかは良さが分かるようになるかなと思ってたけど、いまだにハマれない。
まず、『ロンドン・コーリング』ってイントロから暗いじゃん?ちょっと湿っぽいし。それよりも一音目からジャーンってブチかますラモーンズのようなスタイルの方が好き。
あとは、ポリティカルでスタイリッシュな感じが苦手なのかもしれない。完全にかっこよすぎてしまうよりも、ちょっとツッコミどころがあったりユーモアがあったりする方がいい。

●確かに言われてみると『ロンドン・コーリング』は暗いかもしれないです・・・!
では、ラモーンズのツッコミどころはどこだと思いますか?

なんでそこまでして頑なにダウンピッキングを貫き通すんだってところかな。絶対ストロークした方が楽やんって思う。バンドのストーリーとしても後から知れば知るほどツッコミどころがあるし、「AとEしか弾きません!」みたいなところも痛快でいいよね。
そういう意味ではマリーズで活動をしていたときも、いかに痛快さを出せるかってことは追求してた。

ギターとエクスプロージョンすること!

●西さんがバンドを始めた当初はベースを弾いていたとのことでしたが、ギターを始めたのはいつからですか?

毛皮のマリーズを結成してからだから、24歳くらいのときだと思う。
マリーズの前に志磨と組んでたバンドではベースをやってたんだけど、ギターとドラムが同時に失踪して新しいメンバーを探さなくちゃいけなくなって。高円寺に張り紙をして募集をかけたんだけど、なかなかいい人が来ない。で、「ちょっと西君ギター持ってみて。」って志磨に言われて、試しに持ってみたら「似合う!」ってことでギターに転身することになった。

●今回のインタビューを企画した理由には、「西さんがジョニーモデルのモズライトを持ったら絶対に似合う!」と思ったからというのもあります。そして、めちゃくちゃ似合っていますよね。
実際に弾いてみていかがですか?

まずテンションが上がる見た目だよね!これをどうぞって渡されたら嬉しくなるじゃん。
このモデルのモズライトは初めて弾くけど思ったより軽いね。もっとビザールっぽい感じなのかと思ってたけど、作りがすごくしっかりしてる。さすが日本製って感じの丁寧さを感じる。アンプに繋げばすぐに「ラモーンズ!」って感じの音が出るし、いいギターだと思う。

 ●西さんは様々なギターを持っていらっしゃると思いますが、購入する際にはどんな基準で選んでいますか?

やっぱり見た目かな。かっこいいと思ったギターを選ぶこと。
エレキギターって気持ちを前向きにしてくれるものだから、コンプレックスがあってもギターがかっこよかったら自分までかっこよく思えてくる。
だから、ちゃんとギターと一体になるのって大事。かっこいいギターに似合う人間にならないといけない。そういう意味でジョニーはギターと一体になってるよね。
他には、山口富士夫さん。あの人はすごかったね。夏の魔物でライブを見たんだけど完全にギターと一体化してた。あとはマーヤ君も一体化してるよね。
この「ギターと一体になる」って感覚、なんか分かるでしょ?

●なるほど!挙げて頂いた方々は、名前を聞いただけで、顔と一緒にギターを弾いている姿が思い浮かびました。
では、ギターと一体になるためには、どうしたらいいと思いますか?

イメージすることかな。
まず手にした時点で、それを弾いてる自分の姿がイメージできないとダメだよね。ギターとエクスプロージョンしていくというか、自分のものにしていく感じ。
やっぱりギターはもちろん、ギターを持つ人もかっこよくあるべきだと思うし、自分もギタリストとしてそうでありたいなと思うよ。

☆インタビューの後半はコチラ


プロフィール
越川和磨(Kazuma Koshikawa)/ギタリスト
2003年に毛皮のマリーズを結成し、2010年アルバム『毛皮のマリーズ』でメジャーデビュー。2011年、毛皮のマリーズ解散。
2012年、日高央(元BEAT CRUSADERS)率いるTHE STARBEMSに加入。2018年までギターを務める。
現在はTHE PRETTY TONES、THE杉並組、LTD EXHAUST IIにて活動中。
パンクでダイナミックなプレイスタイルが特徴で、数々のキッズたちを魅了し続けている。

撮影協力:高円寺P.I.G.studio https://www.pig-studio.info/

INTERVIEW タムラモーン
PHOTO カレー・ラモーン
ASSITANT サエキティ

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